第45回  愛媛県小中校長会研究大会研究要項

 

大会主題  未来を切り拓き、心豊かでたくましく生きる子どもを育成する学校教育の推進
  
〜新しい時代に求められる活力ある学校づくりの推進〜

 

 

1 主題設定の趣旨

今日、我が国は少子高齢化、国際化・情報化や科学技術の進歩等の急激な社会の変化の中にあり、まさに、先行き不透明な時代、変革・混迷という新しい時代の直中にある。子どもの教育をめぐる状況は、いじめ、不登校、学ぶ意欲の低下、生活・学習習慣の未確立、社会性の欠如、社会規範の低下等、依然として厳しいものがある。

このような中で、教育においては、変化に適切に対応し、未来を切り拓いていくことのできる社会の形成者としての資質の育成が求められている。また、自ら考え、進んで行動する自立した個人として、心豊かにたくましく生きていく基盤となる力の育成が求められている。とりわけ、義務教育にあっては、学校の教育力を高め、教職員の力量を高めることを通して、子どもたちの「人間力」を豊かにはぐくんでいくことが求められており、今後とも、各学校では、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな身体」のバランスのとれた育成に取り組まなければならない。

そのため、校長は確固たる教育理念や将来へのビジョンをもち、教育改革の大局を見極めつつ、より一層のリーダーシップを発揮して、意欲的、創造的に学校経営に当たらなければならない。また、子どもも教職員も活気にあふれ、生き生きとした活力ある学校づくりを通して、心豊かでたくましく生きる子どもの育成を目指す学校経営に努めなければならない。

このような時代の背景や本県校長会のこれまでの研究成果を踏まえ、校長として新しい時代における学校経営の在り方について研究実践する主題として、「未来を切り拓き、心豊かでたくましく生きる子どもを育成する学校教育の推進」を設定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2  研究題と研究の視点

1研究題  創造的で特色のある教育課程の編成・実施と評価

   子どもたちの「人間力」を育成するためには、校長のリーダーシップのもと、全教職員の創意工夫を生かした創造的で特色のある教育課程の編成・実施が極めて大切である。

   その取組が、一人一人の個性を生かし、学ぶ楽しさや生きる喜びを実感させる真の生きる力を育成するために機能しているかどうか、子どもたちに視点をあて常に見直しを図りたいものである。また、学習状況や教育活動の内部評価とともに、保護者や地域住民等へ教育活動を積極的に公開し、外部評価等も取り入れながら、教育課程の編成・実施に活用し、教育活動の向上を図ることが求められている。

   校長は、教育課程の編成・実施と評価に当たって、教育内容や諸活動の厳選及び総合的な学習の時間の改善・充実に指導力を発揮しなければならない。また、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性、健やかな体などの生きる力をバランスよく育てることを通して子どもたちの「人間力」の育成を目指す活力ある学校づくりに取り組む必要がある。

 

<研究の視点>

    新しい時代に求められる教育課程の編成・実施

    自己点検・自己評価・外部評価等の活用

    地域や学校の特色を生かす教育活動の充実

    総合的な学習の時間の改善・充実

 

 

第2研究題  時代の要請に応え、教職員の意識改革と資質能力の向上を目指す学校経営

  心豊かでたくましく生きる子どもの育成には、教職員の意識改革と資質能力の向上が極めて重要となる。教育の専門家としての確かな力量や温かい人間性、強い情熱や使命感に基づく教育実践が求められている。

  そこで、校長は、時代の要請や教育の動向を見据え、子どもの実態や、家庭・地域社会の思いや願いを学校の教育目標に生かし、その達成に向けて、教師の力量を強化し、子どもたちの「人間力」の育成にリーダーシップを発揮しなくてはならない。

 校長は、専門的な知識や技能の研修だけでなく、教職員の意識改革及び豊かな人間性や社会性を身に付けるなどの総合的な人間力の向上を目指す研修の充実を図らなければならない。また、一人一人を生かす教職員の評価の工夫等により、教職員の意欲を喚起し、活力ある学校づくりに取り組む必要がある。

 

〈研究の視点〉

    教育の専門家としての確かな力量を高める研修の推進

  ○ 教職員の使命感の高揚と意識改革の推進

    教職員の総合的な人間力の向上を目指す研修の推進

○ 一人一人を生かす教職員の評価の在り方

 

 

第3研究題  一人一人を生かし、確かな学力の向上を図る学校経営

 学校は、子どもたち一人一人の個性を尊重し、その伸長を図るという基本的な考え方に立って、保護者や地域社会の願いのもと、個に応じた教育を進めなければならない。子どもたちに求められている確かな学力は、知識・技能に加え、自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力であり、これを一人一人のニーズに応じてはぐくむことが大切である。

 そのためには、個に応じたきめ細やかな指導による基礎・基本の確実な定着を図るとともに、体験的な学習や問題解決的な学習の充実及び生活・学習習慣の確立に向けて、学校・家庭・地域社会が一体となった取組を行う必要がある。

 校長は、確かな学力の向上を図るため、学力調査等の結果も踏まえ、習熟の程度に応じた指導や補充・発展的な学習等の工夫・活用に努めなければならない。

すべての子どもたちが、学ぶ意欲をもち、一人一人が各自の進路に向けて自己実現できる生き生きとした活力ある学校づくりを推進することが大切である。

 

〈研究の視点〉

○ 基礎・基本の確実な定着

○ 体験的な学習や問題解決的な学習の充実

○ 確かな学力をはぐくむ生活・学習習慣の確立

○ 自己実現を図る進路指導の推進

○ 一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進

 

 

第4研究題  豊かな人間性や社会性を培う学校経営

  子どもをめぐる環境の変化は、健やかな心身をはぐくみ、豊かな人間性や社会性を培うべき時期に、社会性や主体性の未発達、倫理観や規範意識の欠如、体力の低下や基本的な生活習慣・学習習慣の未確立等、子どもの成長にさまざまな問題を生み出している。

  このような状況の中、生命や人権を大切にする心や人間尊重の精神、正義感やモラルを重んじる心、他人を思いやる心や他者との共生等、人としてよりよく生きるため、豊かな人間性や社会性を育てることは、学校教育の重要な課題である。

  校長は、これらの課題解決に向けて、自然体験や生活体験・社会体験等の充実を図るとともに、学校・家庭・地域社会の連携を進め、実効性のある学校経営に取り組む必要がある。なお、今後、食育の推進等、新しい観点からの研究実践も求められている。

 

 

〈研究の視点〉

  ○ いじめ・不登校の根絶と生徒指導の充実

  ○ 生命や人権を尊重する人権教育の推進

  ○ 道徳的実践力を高める道徳教育の推進

  ○ 健やかな心身をはぐくむ教育の推進

 

 

第5研究題  信頼され、活力ある学校づくりを目指す学校経営

  少子高齢化や生涯学習社会が進む中、地域社会における学校の存在が再認識され、保護者や地域住民から学校づくりにかかわる校長のリーダーシップの在り方が問われている。

  信頼され、活力ある学校づくりには、学校・家庭・地域社会が目指す子ども像を共有し、その具現化に向けてお互いが教育機能を発揮し、連携、協働して取り組むことが大切である。

  そのため、校長は、経営方針や教育活動を積極的に公開するとともに、子どもの実態や保護者・地域社会の声を的確に把握して、学校教育に生かしていくことが重要である。また、外部評価の導入や学校評議員制度等の活用により、家庭・地域社会と連携・融合し、学校教育の充実・改善を図る必要がある。

  さらに、学校の説明責任と情報発信・情報公開の在り方を工夫し、地域の教育力を積極的に活用しながら、地域社会との双方向の関係を保ちつつ、教育効果を上げていくことが重要である。

  校長は、今後とも、学びの場にふさわしい、安心・安全な学校づくり、信頼され活力ある学校づくりの推進に一層の指導力を発揮することが求められている。

 

〈研究の視点〉

  ○ 学校の説明責任と情報発信の充実

  ○ 学校評価を生かした学校づくりの推進

  ○ 家庭・地域社会との連携・融合による活力ある学校づくりの推進

 ○ 安心・安全な学校づくりの推進